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フリースタイル アット ニューヨーク - マンハッタンから生の現地情報をお届け!


どうもありがとうございました♪
by koolseigo
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さらば「東京ジョーズ」、我が人生の母校4

今回は東京ジョーズにおける「接客」に迫ります。
そしてファンの方々からも指示されていたであろう、代表メニューや「ぱっと出」メニューをご紹介。

7. フロアの仕事~接客のクルシミ、ジレンマ
8. お詫び
9. メニュー
10. バブル崩壊と店の変化




7. フロアの仕事~接客のクルシミ、ジレンマ

基本的にはウエイター、ウエイトレスです。みんな区別無く「働きさん」と呼ばれます。
場合によってはバスボーイやフォローアップしかしないこともあります。
一人当たり平均4卓以上回します。逆にそれくらいできないとバカにされます。
また自分で案内することもあります。その際には
「本日はストーン・クラブ・レストラン、東京ジョーズにお越しいただき誠にありがとうございます」
が最初の一言。続いてホストと思われるお客様に
「メニューは皆様にお配りしてよろしゅうございますか」
とお聞きする。よければお飲み物のメニュー、お食事のメニュー。
お客様が案内されるとまずはお水(季節によってハーブティー)とオシボリを出します。
頃合を見計らって、オーダーを取りに伺います。
そして「キモ」は復唱。これがないとミス・オーダーやトラブルの原因になります。基本ですね。
オーダー後にテーブルへ出す順番は飲み物→前菜→サラダ→スープ→メイン、付け合せ→デザートです。
ストーン・クラブを始め、お食事が一通り終わったころに「レモンつきオシボリ(略称:レ付き」を提供します。
このレモンによって指に付いた匂いを取るのです。フィンガーボウルの代わりですね。
最後にお会計をお出しし、ご挨拶をもって終了。
終わるとすぐにバッシングを始め、テーブルセッティングをすかさず完了します。
こういうと実にスマートなふうに聞こえますが、実際はとてもハードです。
なんてったって同時に複数のテーブルを担当するので、一連の作業の間にまた最初のプロセスが入ってくるわけですから。
しかもお客様はマチマチです。
すばらしい紳士もいれば、どーしようもないオヤジもいる。
やたらとひとのことを「オニーチャンヨォ」などと呼びつけるヤツもいる。
人の話なんかまるで聞いてないオバチャン集団。
でもお客様は選べませんから。
そしてたまーに、いや、結構若かったのでかなりの確率で「キレ」ます。
しかしその怒りは腹の中で抑えつつ、キッチンへ向かう途中のカベを「ゴン!」と殴りつけるのです。
これをみると他のスタッフは「ああ、怒ってる、怒ってる」と認識します。
だからって何が変わるわけでもないのですが、接客中のスタッフは皆普段とは一味違います。
一回こういうサービス業を経験してしまうと、ジレンマに陥ることがあります。
例えばある飲食店で外食したとします。
このときその店に対して、或いはスタッフに対して、クルシミが分かる分「優しく接してあげよう」とする気持ちと、サービス業を経験している分「なんでそんなこともできないの」「なにその態度」とかいった感情が入り乱れるのです。
しかし一流と呼ばれるホテルやレストランでの食事で、同席している人間が食べ終わってもいないのに私の皿が空いていると言うだけで下げようとしたときは流石に文句を言いました。
サービス料とっているわりに、「なんじゃそりゃ?」と思うようなことがあればちゃんと言ったほうがいいですね。東京はチップの代わりにデフォルトでサービス料をチャージしているのだから、きちんと言うべきです。
でもそういうとき「人の振りみて我がフリなおせ」という言葉を思い出すのでした。

8. お詫び

暴力行為、誠実性に反する行動が認められた場合、バイトであろうが社員であろうが、辞めさせられます。これを「お詫び」する、と言います。
10日連続無断欠勤とか、備品の横領とか、そいうったものは十分対象になりました。

9. メニュー

有名なメニューから、すぐに消えたメニュー、季節のメニュー、隠れ(?)メニューまで、私が記憶しているものの特長を書いてみます。

ランチ編
(1) シーフード・ロール・ランチ
う~懐かしい。食べたい!シーフードの盛り合わせを自分で酢飯と海苔で手巻きにして食すランチ。
野菜も載っているので、サラダは付かない。

(2) オムレツランチ
バイトの間ではランチの中で人気ナンバー・ワン。何故かというとスープもサラダも付いて、季節のご飯とメインのオムレツ、というのが1,200円くらいでデザート、コーヒー付き(当時)で食べられたから。

(3) ロッキーステーキ・ランチ
オムレツの次に人気。お客様の目の前で熱々の鉄板に野菜と肉を焼くパフォーマンス。これをいかにかっこよくやるか、競い合った。

(4) マンハッタンライス、ニューイングランドライス・ランチ
サフランライスにクラムチャウダーをぶっかけた、変わりランチ。創業当初のメニュー。
マンハッタンはトマトベースの辛口、ニューイングランドはホワイトソースの甘口。どちらもクラムと野菜たっぷりで、かなりおいしかった。

(5) ターキー・ランチ
カリカリのターキーに、ニューイングランド・チャウダーをかけて食べます。旨い。

(6) ステーキ・ランチ
バブルがはじけたころ、客寄せの救世主としてメニューに加えられた初の低価格ランチ。当時980円。
価格を安く抑えた割にはボリュームのある牛肉、そしてデザートの杏仁豆腐はキッチンのスタッフの力作。

(7) ストーン・クラブ・ランチ
ランチの中で最高価格。夜は高いが、昼間は少ないポーション(3ピース)で安く食べられる。

(8) 海鮮丼ランチ
お刺身がどどーん、とのった、豪快かつ品のあるドンブリモノ。
この手の商品が増えればよかったのに。

ディナー編
(1) Tボーン・ステーキ
ステーキの大様。シーフードレストランだけど、やっぱりこういうアメリカモノは人気が高かったし、個人的にもスキだった。なんといってもあのソース。シンプルだけど味わい深い。このソースは見よう見まねでよく作ります(今も)。
作り方;
① ステーキを焼いた後、肉汁の残るフライパンの上に赤ワインを適量たらします
② お好みでニンニクを投入
③ 強火でぐわっっと沸騰させます
④ あらかたアルコールが飛んだと思われるころ、すかさず醤油をワインの量の半分ほど入れます
⑤ 余熱で軽く1分程度煮込みます
⑥ 茶漉しなどでカスを取り除き、完成

(2) オニオン・ブロック
知る人ぞ知る!他ではあまりお見かけできない、「そそり立つ」フライド・オニオン。
ブロック、と呼ばれるのはそれを製作する過程で、ブロック(立方形)型のフライヤーで揚げるから。
なかなかご家庭ではできないので珍しい一品、とオススメしていました。
見た目はすごいし味もいいが、2人程度では多すぎる・・・

(3) シュリンプ・カクテル
前菜の代表選手といったところ。最後に行ったときは殻つきになっていたが、以前は殻を剥いてあった。カクテル・ソースの作り方はケチャップに醤油を入れるだけでできあがり!

(4) メイン・ロブスター
見た目もゴージャスなMaine州のまっかっかロブスター。メルト・バターでいただく。甘みがあり、最高。

(5) ツナ・ステーキ
これもお客様の前で調理するタイプ。「いかにかっこよく調理するか」がポイント。まずは油がひいてある熱々の鉄板にマグロの身を「じゅああああっっ」と焼き、すかさず残ったスペースでワケギを炒める。
最後に醤油を一振りし、また「じゅああああっっ」とやる。これが派手な演出なんだわ。
お客様にお聞きして、お好みによって手際よくお切りして、お出しする。

(6) まぐろ頬肉のステーキ
あるとき、理由は覚えていませんがメニューを一新する機会があり、ツナ・ステーキが生まれ変わりました。これはパフォーマンス付ではないが、プレゼンテーションがすごい。
なんてったってマグロの頬から首にかけて骨付きで「どおーん」とでてくる。
ショウガのコオバシイ香りに食欲がそそられる一品。中トロ、大トロが好きなように同時にいただけるレアもの。

(7) 海草サラダ
ワカメ、トマト、海草、アルファルファ(もやしの細いヤツみたいなの)にサウザンアイランド・ドレッシングをかけて、ぐっちゃぐちゃに掻き混ぜてからいただく。お上品に食べてはいけない。

(8) コンク貝のお刺身
はああ・・・なんておいしいんだ。当時はコンク貝の殻をよくお客様に見せて差し上げたものだ。醤油との相性ばっちり。どこぞのフリッターじゃなく、刺身で食うべし。

(9) 生牡蠣
三陸沖の指定業者から搬入。ミルクたっぷりのおおぶりな牡蠣。夏は夏牡蠣が食べられた。

(10) ノレソレ
一時しかお目にかかれなかった前菜。ノレソレとはアナゴの稚魚のこと。
このころ「ノレソレ?ナンヤソレ?」というダジャレが流行る。

(11) ケイジャン・クロウ・フィッシュ
ケイジャン料理としては有名だが、あまり人気が無く、すぐに消えたザリガニの冷菜。スパイシーで、海老を食べている感じ。ビールのツマミにピッタリだった。

(12) オイスター・ステーキ
こいつも「客前調理パフォーマンス系」メニューの一つ。熱々の鉄板でバター、牡蠣の剥き身とワケギを焼き、醤油をぶっかける。最後に荒引胡椒をふりかけ完成。アツアツ、ウマウマメニュー。ランチ・メニューでも冬のみ提供。

(13) ソフト・シェル・クラブ
脱皮したてのブルークラブのフライです。やわらかいので殻ごと食べられます。
これがシンプルだけど実に味わい深い。最近は多くの店で出しているのではないかと思います。

(14) ブラウニー
ウエイターのスキルによって完成度がまちまちのキワドイメニュー。暖かいブラウニーに冷たいバニラ・アイスをのせて、チョコレート・ソースでデコレーションする。このソースをかけるところが難しく、これも技術の競い合い。

・・・とまあ、こんな感じです。あなたの好きなメニューはありましたか?

10. バブル崩壊と店の変化

バブル崩壊後の危機を救った980円メニューについて少し触れてみたいと思います。
実はこの辺りから、創業以来保たれてきた「東京ジョーズ」のブランド、雰囲気が少しづつ変化してきます。
勿論時代の流れと共に変わることの無い経営なんておかしいですが、それでもその場の雰囲気をキープしながら何とかやっていく、という方策もあったのではないかと思うのですが、お客様の眼に見えるところにも影響が出始めました。
華やかだったバブル時代とは打って変わり、ランチタイムの客数が少しづつ減ってきました。それでも2回転はしていたのですが、常時「満員御礼」のころに比べれば、早上がり(2:30でバイトのランチ勤務を早目に終了させること)が日々目立つようになったのです。
アイドルタイムと呼ばれる2:30~6:00(ディナータイムが始まる直前まで。ジョーズは休憩時間無しでオープンでした)にティーセットなる、ドリンクとデザートのメニューなども設定しましたが、コストパフォーマンスは高そうなものの、客足はイマイチ。
他に金券を配り歩いたり(よくやりました。大手の会社を回ったり。営業ですね)もしました。
980円のランチメニューはそういう時代に、再びランチタイムの活性化を図るための救世主でした。
しかしプレゼンテーションの簡素化、他のランチメニューとの差別化はお客様にとってはあからさまとなります。
というのも980円メニューには杏仁豆腐などの日替わりデザートが付きますが、他のランチメニューにはディナー時単価600円のデザートと600円の飲み物が付きます。
こういうのは例えば全員980円メニューを頼むグループならいいのですが、バラバラに頼まれることもあるわけで、そのとき980円メニューを選んだ方の見た目はどうしても落ちてしまうのです。
また内部のプロセス改善も細かく行われました。
例えばオーダーを取ってきてからGO(キッチンに料理依頼すること)をかけるまでの手順の標準化、バッシングのルート設定、備品配置の改善などです。
これらはバックのことなので、とりわけお客様の目に付くものではないし、逆に効率化が図られるので喜ばれるものでした。
その後、卒業してからたまに店に顔を出しましたが、そのたびに変化がありました。
まず、どこかの時代で「フレンチ」色を導入したようです。
フレンチのシェフによる、独創的なメニューを開発したり、これまで白と銀で統一されていた食器に透明ガラスや絵皿を加えるようになりました。
個人的には派手さは無いけれどシンプルな、白と銀の統一感がジョーズのブランドを保ってきた要素だと思うのです。
お客様に喜ばれていたのならいいのですが、個人的には「ナンデモあり」に見えてちょっと残念でした。

★「さらば「東京ジョーズ」、我が人生の母校5」へ続きます★
by koolseigo | 2005-04-15 16:43 | 雑文雑記@NY
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